第9回JICA-世界銀行グループ・ハイレベル対話を実施:気候変動、食料安全保障、民間セクターファイナンスについて議論

2023年3月1日

Deep Diveセッションを総括するJICA山田副理事長(上)および世界銀行トロッツェンバーグ専務理事(下)

2023年2月1日、国際協力機構(JICA)と世界銀行グループは、オンラインで第9回JICA-世界銀行グループ・ハイレベル対話を実施しました。両者は、世界の喫緊の課題である3つのテーマ(気候変動、食料安全保障、民間セクターファイナンス)について意見交換し、各地域においても一層の連携強化を図ることで合意しました。

JICAと世界銀行グループは2014年以降、「ディープ・ダイブ(Deep Dive)」と呼ばれる年次協議で、重点テーマと地域についての対話を通じ、本部と現場レベルでの連携強化に向けて議論しています。今回の第9回Deep Diveでは、昨年10月から対面およびオンラインで上記の3つのテーマおよび6つの地域(東南アジア・大洋州、南アジア、欧州・中央アジア、中東・北アフリカ、アフリカ、中南米・カリブ)について協議を行いました。

気候変動分野では、世界銀行グループが現在までに25カ国以上で策定している「国別気候・開発報告書」(Country Climate and Development Reports)を踏まえつつ、各国の長期低排出発展戦略(Long Term Strategy: LTS)の形成・実施を支援することを合意しました。また、パリ協定の達成に向けた開発途上国のロードマップの策定を支援すること、水素等の革新的な脱炭素技術の導入支援で連携することに合意しました。

食料安全保障分野では、現下の肥料や食料の価格上昇の影響を最も受けるサブサハラ・アフリカの食料危機への強い懸念を共有し、両機関の対応策について意見交換しました。具体的な今後の連携分野としては食料安全保障の4つの要素(食料生産、農家の育成および農業分野の民間セクター開発、栄養改善、気候変動対策)を出発点としつつ、食料システム変革に資する新規分野についても検討を行うことで合意しました。

民間セクターファイナンスでは、2017年に国際金融公社(IFC)と調印した覚書(Memorandum of Cooperation:MOC)のもと、5年間で総額15億ドルの協調投融資を行うという目標を達成し、昨年9月に更新したMOCを踏まえて今後の連携方針を確認しました。今後、IFCや多数国間投資保証機関(MIGA)と共に、気候変動対策、食料安全保障に資する農業セクター支援、低所得国や島嶼国での連携を拡大することで合意しました。

また、前年までの協議の成果も着実に結実しており、教育、COVID-19 対応や保健などの人的資本の領域では、カンボジア、ブータン、セネガル、モロッコ等で連携の進展を、また第8回アフリカ開発会議(TICAD8)におけるサイドイベントを通じた共同発信を確認しました。さらに、質の高いインフラ投資に関するウェビナー開催についても実績を確認しました。

加えて、各地域における、気候変動対策、エネルギー移行、防災、連結性、債務問題、保健など多岐にわたる分野での連携の可能性について意見交換しました。

両機関は、今後も様々なレベルで対話を継続し、連携を強化していきます。

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Deep Diveセッションの全体写真