ベトナム「ニントゥアン省陸上風力発電事業」に対する融資契約の調印(海外投融資):再生可能エネルギー事業により気候変動対策に貢献

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2022年12月21日

稼働中の発電所

国際協力機構(JICA)は12月20日、ベトナム南部ニントゥアン省の総発電容量88MWの陸上風力発電事業に対して、最大2,500万米ドルを供与するプロジェクトファイナンスによる融資契約に調印しました。本事業により、年間およそ215,000トンのCO2排出削減に寄与する見込みです。本事業は、ベトナム系企業BIM Energy Holding Corporation とフィリピン系企業ACEN Vietnam Investment Pte Ltd.が出資するプロジェクトカンパニーが借入人となります。また本事業はアジア開発銀行(ADB)、三井住友銀行等との協調融資により実施されます。

ベトナム政府は、2020年から2030年にかけて電力需要が年間9.1%増加すると予測しており、新型コロナウイルス感染症の影響で落ち込んだ経済成長の回復に合わせ、今後も旺盛な電力需要が見込まれています。また、同政府は、気候変動対策を講じない場合と比して2030年に9%の温室効果ガス削減を目標に掲げるとともに、具体的な実現策によって再生可能エネルギーの導入を促進しています。同政府の電源開発計画は、電力供給増加と気候変動対策を両立させるため、2030年における125~130GWの発電容量のうち約15~20%を再生可能エネルギー電源とする目標を立てています。このうち国内の山岳部や海岸線に賦存する豊富な風力を活用し、2030年までに2030年の発電容量の約5%にあたる6,000MWを風力発電によって賄う方針です。

ベトナムの再生可能エネルギー分野では地場企業や外資企業による民間主体のプロジェクトファイナンス方式での事業の前例が少なく、再生可能エネルギー導入の資金不足が課題となっていました。本事業はベトナム企業およびフィリピン系企業が事業主体となり、外資の民間金融機関の資金も動員して行われるものであり、2021年5月に調印した「クアンチ省陸上風力発電事業」に続く、再生可能エネルギー分野における民間企業主体の事業です。類似案件形成の更なる呼び水となる効果が期待されます。また本事業は、風力発電所及び関連設備の建設・運営を通じ、同国の再エネ発電による電力供給量の増加を図ることで、SDGsゴール7(エネルギーをみんなに そしてクリーンに)、ゴール13(気候変動に具体的な対策を)、及びゴール17(パートナーシップで目標を達成しよう)に貢献します。さらに ASEAN域内の事業者によるグリーン投資を促進するものであり、2019年11月の日ASEAN首脳会議で安倍首相(当時)が発表した「対ASEAN海外投融資イニシアティブ(*1)」に資するものです。

JICA はこれまで、海外投融資「クアンチ省陸上風力発電事業」、ADBに設置したアジアインフラパートナーシップ信託基金のサブプロジェクト「フーイェン省太陽光発電事業」、円借款「省エネルギー・再生可能エネルギー促進事業」等により、同国の再生可能エネルギーの導入を支援しています。これらの支援を土台として、本事業を通じて民間資金を用いた再生可能エネルギー事業を支援することで、同国の再生エネルギー開発を一層後押ししていきます。