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「フィンテック金融包摂支援投資事業」に対する出資契約の調印(海外投融資):アフリカ、アジアの開発途上地域における金融アクセス拡大に取り組むスタートアップ企業を支援

【SDGsロゴ】貧困をなくそう

【SDGsロゴ】働きがいも経済成長も

【SDGsロゴ】産業と技術革新の基盤をつくろう

2022年8月19日

Lendable MSME Fintech Credit Fundの投資先の様子(Watu社は、与信審査にFintech技術を活用し、アフリカの金融にアクセスできていなかった貧困層へ二輪の販売金融を提供)

Lendable MSME Fintech Credit Fundの投資先(インドネシアAmartha社)のサービスで金融にアクセスし商店を経営する女性

国際協力機構(JICA)は、8月18日、米国Lendable社が運営するデットファンドであるLendable MSME Fintech Credit Fundに対する1,000万米ドルの出資契約を締結しました。JICAの出資金は、ファンドを通じて、アフリカ、アジアの開発途上地域において金融アクセス改善に取り組む、創業初期のフィンテック・スタートアップ企業への融資に充当されます。本事業は、今年3月に開催されたアフリカ開発会議(TICAD)閣僚会合で言及された「デジタルトランスフォーメーション等のイノベーションを通じた社会課題解決型ビジネス」に貢献する案件で、8月27日、28日にチュニジアで開催されるTICAD8に先立ち調印するものです。

Lendable社は、フィンテック・スタートアップに対する融資を、IT、データサイエンスを駆使して実施しており、開発途上地域の創業初期のフィンテック企業向けファンド運営の先駆者です。本ファンドには、民間投資家に加え米国国際開発金融公社(DFC)、オランダ開発金融公庫(FMO)などが出資参画していますが、アジアから初めてJICAが出資参画します。

世界では、約14億人が銀行などフォーマルな金融サービスを受けられないといわれています(世界銀行、2022年6月)。特にアフリカ地域の銀行口座及びモバイル口座の保有率は、多くの国で50%を下回る水準にあります。またアジア地域でも、15歳以上人口に占める銀行口座保有率はシンガポール、タイ、マレーシアで90%前後である一方、インドネシア、フィリピンで約50%、バングラデシュは16%、パキスタンは4%等に留まり、途上国における金融アクセスの改善が課題となっています。こうした課題に対し、モバイルマネーやオンラインバンキングなど、金融とテクノロジーを掛け合わせたフィンテックを活用し、低所得者層・中小零細企業が金融アクセスを得られるデジタル金融サービスが創出されています。しかしこうしたフィンテック企業のなかでも、特に創業初期段階にある企業は業歴の短さや信用力を判断する難しさから資金調達が難しく、革新的なサービスを生み出し拡大させるためのボトルネックとなっています。

本事業は、Lendable MSME Fintech Credit Fundへの出資を通じて、アフリカ・アジア地域において創業初期のフィンテック企業への融資を行うことにより、中小零細事業者や低所得者層の金融アクセスの向上を図るもので、SDGsゴール1(貧困をなくそう)、ゴール8(働きがいも経済成長も)、ゴール9(産業と技術革新の基盤をつくろう)に貢献します。また、本ファンドは、ジェンダーの視点も含めたインパクト投資を行う方針であり、「2X Challenge: Financing for Women」(*)の適用案件となります。

今後もJICAは、Lendable社との連携を通じて得た知見・ネットワークを活かして、開発途上国において社会課題の解決に取り組む企業・ファンドを支援していきます。

(*)2X Challenge: Financing for Women:2018年6月のG7にてJICAを含む各国の開発金融機関が採択したイニシアティブ。女性の経済的エンパワーメントに資する案件に対して2020年までに30億米ドルの資金動員を図ることを掲げました。2021年には同取り組みを更に拡大すべく、2021年から22年の2年間で150億米ドルの資金動員を図る目標を設定しました。2Xは女性への投資の量及び効果を倍増させるという目標を示しています。