10年以上にわたる日本式“カイゼン”導入支援の集大成:エチオピアにTICAD産業人材育成センターが完成

#8 働きがいも経済成長も
SDGs
#9 産業と技術革新の基盤を作ろう
SDGs

2023.10.13

10月8日、エチオピア連邦民主共和国の首都アディスアベバにおいて、無償資金協力「TICAD産業人材育成センター建設計画」(2018年調印)で建設されたTICAD産業人材育成センターの完工式典が開催されました。エチオピア側からは、デメケ副首相、メラク工業大臣、アイナレム歳入省大臣等の関係者が出席、日本側からは伊藤駐エチオピア大使、井本JICA理事、森原JICAエチオピア事務所長らが、その他20か国からカイゼン関係者が出席しました。

日本の高度成長を支えた、生産現場における品質・生産性向上の仕組みである「カイゼン」。エチオピア政府は、産業競争力を強化するため、従来の農業中心の経済から、軽工業を中心とした製造業の振興に取り組む方策としてカイゼンを取り入れた人材育成に力を入れています。その中心となるのが、民間企業に対し生産性向上を目的とした研修を実施するカイゼン・エクセレンス・センター(Kaizen Excellence Center、以下「KEC」)です。

完成したTICAD産業人材育成センターの外観

完成したTICAD産業人材育成センターの外観

JICAは10年以上にわたり、エチオピアの製造業振興に寄与すべく、カイゼン普及・実践を目的として技術協力を行い、組織体制やカイゼン指導能力の強化に取り組んできました。その中心となるKECは、エチオピア国内の民間企業等を対象に、カイゼン導入のための研修・指導等を実施し、これまでの累計研修受講企業・組織数1,500以上、累計研修参加者数は20万人以上にのぼります。

エチオピア政府は、KECのさらなる機能の拡大や強化を通じ、カイゼンの全国展開を図ること目標としています。現在、カイゼン導入のための研修は、対象の組織や企業にKECの講師が巡回して実施しており、首都から離れた地域への普及が困難で、全国展開の障害となっていました。

研修・管理事務棟や宿泊棟、研修用機材を有するTICAD産業人材育成センターの整備により、地方部の組織や企業を首都に集めた研修の提供が可能となり、エチオピアにおけるカイゼンの全国展開に大きく貢献します。加えて、エチオピアのみならず周辺国の組織・企業を招いての研修も実施可能となり、アフリカにおけるカイゼンの普及の拠点となることが期待されます。

TICAD産業人材育成センターの内部

TICAD産業人材育成センターの内部

式典において、井本理事は周辺国に対するカイゼントレーナーの派遣や、研修生の受け入れなど、エチオピアによる他国へのカイゼン普及の活動が同センターによって更に強化され、アフリカの産業人材育成の拠点となることへの期待を述べました。デメケ副首相は、本センターがエチオピアと日本の長年にわたる友好的な二国間関係を表しているとし、カイゼンはエチオピアにおける生産性向上のために重要なツールだと確信している旨、述べました。

集合写真

集合写真

JICAは今後も日本政府の方針を踏まえつつ、エチオピア国の産業の品質・生産性向上、経済発展に貢献していきます。

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