フィリピン・マニラ(2022年8月30日)-アジア開発銀行(ADB)は、スリランカの食料安全保障の改善と、女性や子どもに焦点を当てた貧困層や脆弱層の保護のために、進行中のADBプロジェクトから資金再配分を行い、2億ドルの緊急支援融資を承認した。

丸山麻子ADB南アジア局上級教育専門官は、「経済的苦境が続くスリランカでは、食料不安が人々に深刻な影響を及ぼしている。この支援は、貧困層や脆弱な状況にある人々を直接的に支援するための資金を拡充し、農業生産や生計向上に向けた取り組みを後押しするとともに、社会保障制度を強化するものである」とした上で、「政府の要請を受けて、進行中のプロジェクトに係る融資金を部分的に解約し、緊急的な介入の必要性を満たすものである」と述べた。

このプロジェクトを通じて、低所得世帯を始め、高齢者、障害者や慢性的腎臓病患者を対象とした、既存の社会支援プログラムの現金給付を一時的に増額し、加入者を増加させるための措置を少なくとも3ヶ月間講じる。さらに、妊娠中や授乳中の女性に毎月支給される食料クーポンを、少なくとも3ヶ月間、一時的に増額し現金給付に切り替え、2歳未満の栄養不良児を含めた支援へと拡大する。

本プロジェクトでは、食料生産を増やし農業生産コストの増加を相殺するため、高収量地帯の各農家が次の作付け期に耕作する土地に対して、最大2ヘクタールまで、資金援助を行う。さらに、生計の立て直しや対処能力の強化、食料安全保障の改善を図るプログラムを、低所得世帯向けに、18〜20ヶ月にわたって特定地区で支援する。また、プロジェクトを通じて、貧困削減プログラムおよび農業・農地開発に係る情報技術システムやデジタルツールをアップグレードし、現金給付受給者の選定やその検証、モニタリングやコミュニケーション、また、低所得世帯や農家を支援するための現金給付や助言、その他サービスを改善する。

さらに、ADBは、「豊かで強靭なアジア太平洋のための日本基金」(JFPR: Japan Fund for Prosperous and Resilient Asia and the Pacific )から提供される300万ドルのグラントを管理し、シェルターやケアハウスにいる脆弱な立場に置かれた女性や子供、高齢者や障害者、また施設での保護が必要とされる脆弱者のための食料や衛生用品キット、医薬品などを含めた基本的ニーズに応えるための支援を行う。また、ジェンダーに基づく暴力やDV被害者のための相談・支援メカニズムを強化する他、精密農業のための先端技術や先駆的な試みの実践を後押しし、農家の間で生産性の向上を図るために、適正農業規範(GAP: Good Agricultural Practices)に係る認証プログラムの推進を支援する。

ADBは、極度の貧困の撲滅に努めるとともに、豊かでインクルーシブ、気候変動や災害等のショックに強靭で持続可能なアジア・太平洋地域の実現に向け取り組んでいる。ADBは1966年に創立され、49の域内加盟国・地域を含め68の加盟国・地域によって構成されている。9の域内加盟国・地域を含め68の加盟国・地域によって構成されている。

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